教室あいさつ
呼吸器内科学講座のホームページにアクセスいただき、誠にありがとうございます。当講座は2015年に独立した新しい講座ですが、そのルーツは旧第2内科の初代教授で、東北大学で肺結核を研究されていた大池弥三郎先生にまで遡るので、古くて新しい講座と言えます。2016年1月から私が教授を拝命し、診療・教育・研究に従事しています。また2016年10月からは旧第3内科が担当していた感染症科の診療を引き継ぎ、呼吸器内科・感染症科として活動しています。
私は1990年に慶應義塾大学医学部を卒業し、研修医・大学院・専修医を修了したのち、米国Harvard School of Public HealthおよびCase Western Reserve Universityに計3年間留学しました。その後、市中病院などに5年間、慶應義塾大学に10年間在籍しておりました。研究分野は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの急性呼吸不全で、基礎研究ではARDSの発症病態の解明とそれを踏まえた新規治療法の開発、臨床研究ではARDSの予後予測因子や呼吸器感染症の血清学的診断法などを研究してきました。
青森県は全国で平均寿命が最も短い短命県として知られていますが、とくに肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎などの呼吸器疾患で亡くなられる方が多いのが現状です。喫煙率が高く、今後さらに高齢化が進む青森県においては呼吸器診療の重要性がますます増してくると予想されます。その一方で、呼吸器内科や感染症の専門医は少なく、専門的な治療や研修を受けられる施設も限られています。私たちは、特定機能病院、がんゲノム医療拠点病院である当院の特性を活かして、個々の患者さんに最適な医療を提供するとともに、全身を診られる優れた呼吸器内科医、感染症医を育成できるよう、全力で取り組んで参ります。
診療・教育・研究に当たって、私は4つのFが大切だと思っています。
- For the Patients
- 患者さんのbenefitを第一に考える
- For the Team
- 互いを思いやる心をもってチーム医療を展開する
- Forward Progress
- 現状に満足せず、日々進歩し続ける
- Fair Play
- 誰が見ても恥ずかしくない態度や行動を心がける
このような姿勢・信条に共感いただける医師や医療従事者の皆さん、特にこれからの医療を担う若手の方々とともに、呼吸器病学・感染症学の発展のために尽力して行きたいと思います。
教室概要
私たちは呼吸器疾患、感染症を中心に診療・教育・研究活動を行っています。呼吸器内科は、肺がん、肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、呼吸器感染症など多様な疾患を対象とする分野であり、いまだ病態未解明の難治性肺疾患が数多くあります。我が国は超高齢社会を迎え肺炎が死因の上位を占めることが今後も予想され、加えてがんの部位別死因第1位である肺がんや、成人の10人に1人が罹患しているとも言われる喘息、世界の死因第3位のCOPD、そして近年のCOVID-19の流行など、今後も呼吸器内科医、感染症医が果たす役割がますます大きくなっていくと思われます。これらの多様な疾患に対して、教室員が一丸となり、診療・教育・研究を推進してまいります。
肺がんについては、原因となる遺伝子変異を特定して有効な分子標的薬で治療する精密医療(プレシジョン・メディシン)やがん免疫療法が主流となり、年々治療が複雑化しています。私たちは全国規模の肺癌遺伝子診断ネットワークであるLC-SCRUM-Asiaに参加しており、治験も含めて有効性が期待される治療をご提案しています。また北東日本研究機構や北日本肺癌臨床研究会などの多施設共同研究にも積極的に参加しており、肺がんを中心に数多くの臨床研究を展開しています。また呼吸器外科や放射線科、病理部など関係する診療部門と緊密に連携し、個々の患者さんに対してベストの医療を提供できるよう努力しています。

研究面では、肺がんなどの臨床研究に加え、ゲノム生化学講座や血管・炎症医学講座などの基礎講座と連携して、呼吸器疾患の病態解明や新規診断法につながる基礎研究を展開しています。また医療情報部と連携して、青森県の地域特性を踏まえた疫学研究も進行中です。
当講座では呼吸器内科医や感染症医を目指す専攻医を募集しています。個人の希望を考慮し、いわゆるハイボリュームセンターへの国内留学など柔軟なコース設定が可能ですので、興味のある方はお気軽にご連絡ください。
