診療案内

Treatment

主な疾患と治療法

肺がん

肺がんは年間約8万人が罹患し、がんの中で死亡数が多い病気です。診断に用いられる検査はCT検査、気管支内視鏡検査、CTガイド下生検などがあります。治療選択は臨床病期(ステージ)が重要で、臨床病期により治療が異なります。病期診断を行う検査としてはPET-CT検査やMRI検査、骨シンチなどがあり、当院ではすべての検査が可能です。治療に関して非小細胞肺癌はI期から手術可能なIII期までは手術治療が選択されます。最近では周術期において免疫チェックポイント阻害薬が臨床導入されており、高い効果を示しています。何らかの理由で手術ができない場合も、早期であれば定位放射線照射で治療することが可能です。手術が不能なIII期では胸部放射線照射と抗がん剤の併用療法を行います。根治照射後には免疫チェックポイント阻害剤で地固め治療を行う事が標準治療です。放射線照射ができないIII期、IV期では抗がん剤治療を行います。

抗がん剤の種類も多様であり、現在では肺がんの個別化治療が進歩しています。特定の遺伝子変異を有する肺がん症例では劇的な治療効果を示しており、予後改善が認められています。特定の遺伝子変異がない症例においては免疫チェックポイント阻害剤を基軸とした治療が選択されることが多く、長期間の治療効果が持続する症例が20%前後で認められます。

当院では肺がん治療において多くの治験、臨床試験に参加しております。
患者さんの状態によっても選択される治療が異なりますので、最適な治療を検討し提供してまいります。

間質性肺炎

疾患の概要:肺が長い時間をかけて固くなっていく慢性の病気で、進行するとガス交換がうまくできなくなり、体動時の息切れや咳につながります。間質性肺炎には自己免疫病に伴う膠原病関連、外界からの吸入抗原(カビなど)によるアレルギー反応に起因する過敏性肺炎、それらを除いた特発性間質性肺炎(原因の明らかでないもの)に分けられます。

治療法/検査について:吸入抗原が原因である場合には原因の除去が重要です。自己免疫病が背景にある場合には膠原病内科とも連携して主にステロイド、免疫抑制剤を中心とする抗炎症治療を中心に行います。最近では特定の分子をターゲットにした抗体製剤も登場していますのでこれらをうまく組み合わせます。特発性間質性肺炎の場合にはタイプにもよりますが、ステロイド、免疫抑制剤のほか、抗線維化薬、を検討します。内視鏡検査、精密肺機能検査、CT画像パターン、病理結果などをもとに、病理医、放射線科医、呼吸器内科医の協議のうえ、適切な治療をご提案いたします。

慢性咳嗽

気管支喘息だけではない!長引く咳の原因を探る!

咳は受診する動機として最も頻度が高い症状の一つです。その中で慢性咳嗽は、8週間以上持続し胸部X線の異常を伴わない咳を意味します。日本では咳喘息(咳のみを症状とする喘息)が最も頻度が多く、気管支喘息、副鼻腔気管支症候群、胃食道逆流症、COPD、感染後咳嗽なども原因疾患です。詳細な病歴聴取とともに、問診票、呼吸機能検査、気道可逆性試験、呼気中NO濃度測定、CT画像などを用いて多面的に原因疾患を究明し、その疾患に応じた治療を行っていきます。

気管支喘息

たかが気管支喘息と思わないで!

気管支喘息は、様々な刺激に対して気道(気管・気管支といった空気の通り道)が敏感になっている病態を特徴とする慢性炎症性疾患で、気流閉塞(気道が狭くなること)によって喘鳴(ヒューヒューと音が鳴る)・呼吸困難・咳嗽といった自覚症状を繰り返す病気です。日本では約1,000万人の患者がいると推定されており、毎年1,000人程度が亡くなっています。気流閉塞や気道炎症が残ってしまうと、発作を起こしたり、気道リモデリング(気管支の壁が厚く硬くなってしまう)を起こすこともあり、早期からの適切な治療が不可欠になります。病歴聴取・質問紙を用いた問診や聴診などの診察を行い、呼吸機能検査や呼気中NO濃度測定などの検査によって、患者さんの病態を客観的に評価し、患者一人一人に応じた治療を行っています。最近では、数種類の生物学的製剤が使用可能になり、重症喘息患者の多くが病態コントロールできるようになっています。

慢性閉塞性肺疾患

疾患の概要:喫煙や大気汚染による慢性炎症による肺の破壊による病態で、慢性的な咳、痰、さらには息切れにつながります。また、風邪を含む感染症をきっかけに呼吸が苦しくなることがあり、急性増悪とよびます。増悪を起こすたびに肺機能が低下し、死亡率も高くなります。息切れを抑えることで増悪を減らすことが可能です。

治療法/検査について:喫煙や職業性の粉塵、化学物質への曝露などがある場合にはできるだけそれらを回避することが重要です。そのうえで、吸入薬をただしく使うことで息切れを軽減したり、増悪を減らすことができます。肺機能が極度に低下した場合、在宅酸素が必要になることもあります。

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